南部鉄器は、17世紀中頃、南部藩主が京都から盛岡に釜師を招き、茶の湯釜をつくらせたのが始まりといわれます。
以来、良質な原材料に恵まれたことや、藩が保護育成に努め各地より多くの鋳物師、釜師を召抱えたことで発展を続け、その製造品も茶釜から日用品にいたるまで広い用途に応じていました。
有名な南部鉄瓶 は、18世紀になって茶釜を小ぶりにして改良したのが始まりで、一般 の人にも手軽に用られるようになりました。
南部鉄器はその優れた品質により多くの人に親しまれ、日本の代表的伝統工芸品として揺るぎない地位とブランドを築いてきました。
その逸品の数々は日本的伝統美のひとつの到達として近年さらに評価を高めています。
伝統工芸品「南部鉄器」の製造は、高度な技術と経験を必要とします。
中でも、鉄瓶の製造は68工程にも及び、一人前になるためには最低15年、鉄瓶に名前が付くようになるまでには40年を要するのです。